背水の陣で望んだ「脱サラ開業」、弟からの「軍資金」に感激しましたの詳細

背水の陣で望んだ「脱サラ開業」、弟からの「軍資金」に感激しました

"私は30代の時に、それまで勤めていた会社を辞めて、小売店を開業しました。手持ち資金が潤沢にあったわけではありませんでしたので、国民金融公庫から融資を受けることにしました。
なんとか融資してもらえたのですが、それは私が希望していた額の6割りぐらい。お金を借りられたのはよかったものの、とても安心できる金額ではありません。
「銀行をあたった見ようか、金融会社はどうかな」と頭を悩ましていたある日、開業準備をしていた私のところに、弟がふらりとやってきたのです。電話ではよく話していましたが、会うのはひさしぶりです。
うれしくなって、居酒屋で一杯やることにしました。兄弟2人だけで酒を酌み交わしたのは、そのときが初めてです。そして「お開き」となったとき、弟が懐から封筒を取り出し、「金、足りないんだろ。これよかったら使ってよ」と言いました。封筒の中には30万円入っていました。金融公庫の件は弟にも電話で話していて、「とても足りない」と私が嘆いていたので、弟が助け舟を出してくれたのです。
驚くと同時に、弟の情に感激。酔っていたこともあり、涙が出てしまいました。私はその場で「借用書」を書き、弟に渡しました。弟は開業祝のつもりだったようですが、兄貴としてはそれでは受け取りにくい、「借金」の形にしたほうが使いやすいと考えたからです。
もちろん、30万円では、開業資金の不足分はとてもまかなえません。けれど、弟の気持ちのありがたさは、金額の多寡とは関係ありません。私はその封筒を見つめながら、「足りないなら足りないなりに、なんとか今の資金だけでやってみよう」と決意しました。
弟の30万円は、私の考え方を変え、モチベーションを高めてくれたのです。その借金は、開業して1年後にまとめて返しました。そのときも弟と2人だけ飲みました。ほんとうにおいしいお酒だったことを、今でもはっきり覚えています。"